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 2024年第1回定例会(3月議会)の報告

<1> 杉谷伸夫議員の一般質問・・・3月6日(水)お昼前後の見込み

 1.能登半島地震災害から、本市の災害に対する備えの見直しを
 2.旧上田家住宅の市民利用の拡大へ、公平で透明性のある運用を
 3.上半身脱衣での学校健診を見直すことについて

 

一般質問の要旨はこちら(PDF)


【1】 能登半島地震災害から、本市の災害に対する備えの見直しを
●趣旨
  能登半島地震災害の経験をふまえ、被災者支援や災害備蓄など、向日市の災害に対する備えに関して、見直しや再点検して頂きたいことについて質問します。

質問

能登半島地震発生から約2カ月が経ちましたが、2月22日現在で241人の方が亡くなられ、また珠洲市、輪島市などでは過半の建物が損壊するなど、甚大な被害がありました。未だ1万人以上の方が避難所での生活を強いられています(2/22現在12,278人)。被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早く普段の日常を取り戻されることをお祈り申し上げます。

 能登半島地震の震源地が珠洲市にあることを知ったとき、もしここに原発ができていたらと考え、恐ろしくなりました。珠洲市に原発建設が計画されていたのですが、地元の反対運動により電力会社は2003年ついに計画を凍結しました。もし建設されていたら、もし運転中であったら、どうだったでしょう。道路は寸断され、救助隊すらなかなか被災地にたどり着けない状態で、避難が不可能だったのは明らかです。地震大国日本に、原発は絶対作ってはダメなのだと言うことがハッキリわかりました。

 さて今回の一般質問では、能登半島地震災害の経験から、本市の災害に対する備えについて、いくつかお聞きします。

(1)スフィア基準に基づく避難所整備・被災者支援について
 最初に、国際人道基準に基づいて求められる被災者支援についてお聞きします。
 能登半島地震では、初動の救助の遅れの他、避難者の置かれている状況の劣悪さが改めて指摘されています。
 私が注目するのは、海外の専門家から「ソマリアの難民キャンプよりひどい」と酷評されている避難所環境の問題です。比較されるのが、日本と同じく地震大国であるイタリアの被災者支援です。イタリアで2009年に発生したラクイラ地震では、仮設トイレが発災当日に届き、暖かい夕食が当日夜に供与されました。簡易ベッド、シーツ、枕と毛布が、冷暖房付きのテントと一緒に翌日までに準備されたそうです。
 条件が大きく違うとは言え、被災者支援の根本的な考え方が違うようです。日本の避難所の設置、運営は自治体に任されていますが、イタリアでは市民保護の国家機関を設立し、国の責任で被災者支援を実施しています。避難所には48時間以内にテントやベッド、仮設トイレや食堂などを準備し提供しなければならないことが、国の責務として明記されているのだそうです。
 そして避難所には、「スフィア基準」という国際的な基準があります。『人道憲章と人道支援における最低基準』といい、被災者や難民の権利と支援活動の最低基準を定めたものです。スフィア基準の基本理念は2つです。
(1) 被災者は、尊厳ある生活を営む権利があり、支援を受ける権利がある
(2) 災害による苦痛を減らすために、実行可能なあらゆる手段をとらなければならない
 この基本理念の下に、様々な最低基準が示されています。例えば、
●居住空間は、適切な居住スペースを確保し、身体的な安全や尊厳を得られることとされ、1人あたりのスペースは、最低3.5㎡確保すると示されています。
●トイレは、安全、清潔かつ信頼性のあるトイレをいつでもすぐに使える必要があることとされ、20人に1つの割合で設置すること(緊急時には50人に1つ)、女性は男性の3倍必要と示されています。
 トイレについては、来年度予算でトイレカーの導入を計画していることを評価します。
 こうした基準は、国際的な「最低基準」です。これまで「避難所だから仕方ない。我慢して当然」という考え方が根強く、避難所生活の質を求めると「この非常時に贅沢だ」と思われる風潮があるように見受けられます。しかし、避難所での生活の「質」とは、人間らしい生活をおくることで、せっかく災害から助かった被災者の命を災害関連死から守るためのものです。

 そこで質問します。
①大規模災害時の被災者支援は、根本的には国が責任を持った体制づくりが必要です。しかし自治体としてもこの機会に、国際的な最低基準(スフィア基準)に照らして、被災者支援の基準を見直す必要があるのではないでしょうか。見解を伺います。
 具体例として特に、避難所の広さ、トイレの現在の設置基準と見直しの考えについてお答えください。

②災害対策に係る国への要望について
 内閣府が「参考にすべき国際基準」とするスフィア基準通りの整備を個別の自治体だけで完備することは不可能です。本来は国が主導して災害対策を行うべきです。その意味で、備品や食料供給、冷暖房、トイレ、風呂、洗濯など避難所の基準の見直しと整備への全額国費負担など災害対策の大幅な拡充を、国に対して強く要望すべきと考えますが、見解を伺います。

③災害備蓄品の備蓄状況について
 目標とする備蓄品リストが作成されていますが、備蓄状況の点検はどのように行われていますか(以前、備蓄数の不足が何年間も発覚しなかった経緯があります)。また必要数の半数を向日市が、残り半数を京都府が備蓄することになっていますが、京都府の備蓄状況はいかがでしょうか。

(2)災害廃棄物処理について
 能登半島地震では、膨大な災害廃棄物の発生が見込まれています。珠洲市では132年分とのことです。
 向日市では、2020年に乙訓2市1町共同で災害廃棄物処理計画を策定しましたが、それによると最大58万トンの災害廃棄物の発生が見込まれます。向日市の一般廃棄物発生量の40年分以上です。廃棄物の仮置き場がなく近隣自治体との協議が課題とされていましたが、現状をお聞きします。

(3)能登半島震災現地支援の経験を生かす取り組み
 災害支援はまだ進行中ですが、この経験を本市の防災施策に活かすことについて伺います。
①本市職員、関係機関が行った支援活動の実績について
②行政内だけでなく、市民を対象とした報告会を開催し、経験を広く共有することについて

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【2】 旧上田家住宅の市民利用の拡大へ、公平で透明性のある運用を
●趣旨
 旧上田家住宅は、4つの部屋が有料の貸室として市民の利用に供されていますが、不透明な運用が行われ、市民の利用に支障が生じているようです。運用の実態をお聞きし、改善を求めます。

質問

 旧上田家住宅は、史跡長岡宮内裏内郭築地回廊跡の上に位置する旧家で、向日市が土地を買上げ、所有者から寄贈を受けた建物を改修・整備し、2019年に国の有形文化財に登録されました。施設内は無料で観覧できるとともに、主屋1,主屋2,ギャラリー、離れの4つの部屋が有料の貸室として市民の利用に供されています。開館以来様々な催しが開催され、市民の認知も進んできました。
 ここの貸室は公開使用が原則で、また一般市民が利用できる市内の公共施設の中では、数日~1、2週間といった一定期間を継続して使用できる唯一の施設です。そのため作品展示などの目的に適しており、特にギャラリーは市民の利用希望が増えているようです。

 ところが現状は、市民がギャラリーを利用したくても利用できない実態であることがわかりました。ある市民が4月の桜の季節にギャラリーで作品展示をしたいと考え、予約受付前の1月中旬に施設を訪問して相談したところ、「4月、5月はほとんど埋まっている」と言われました。一般予約開始の前に、旧上田家住宅の開設、運営に協力された特定の市民団体の予約で、すでに日程が埋まっているというのです。
 その後、予約開始初日の朝一番に申込みに行かれたところ、すでに4月は第3週しか空いていないと言われ、やむなく希望の第1週をあきらめて、第3週に予約をされました。「一般市民の予約開始前に、ほとんど埋まっているとはどういうことだ。不公平ではないか。」と憤慨しておられました。またこのようなことは特殊例外なことではなく、日常化しているようです。
 旧上田家住宅は、文化遺産として価値があるだけでなく、市民に開放された貸室としても貴重です。市民の利用希望が増えてきている中で、この施設を広く市民に利用して頂けるよう、公平で透明性のある運用をして頂くことを求めて、以下質問します。

(1)一般市民の使用申込より優先して、特定の市民団体が日程を押さえる運用が、これまで恒常的に行われているようです。運用の実態をお聞きします。

(2)特定の市民団体の特例的な使用に対して、使用料を免除していると聞きますが、その実態をお聞きします。

(3)こうした運用は公共施設としての公平性の原則に反しており、さらに一般市民の使用に支障が生じています。こうした特例的な運用は廃止するべきだと考えますが、市の見解をお聞きします。

(4)これまで市民から相談、要望、苦情はなかったのでしょうか。また、市民に直接接する窓口からの声は無かったのでしょうか。その市民も申込時に窓口で「おかしいじゃないか」と強く苦情を申されたそうです。

(5)市の他の公共施設でも類似の運用は無いでしょうか。調査して頂きたいが、いかがでしょうか。

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【3】 上半身脱衣での学校健診を見直すことについて
●趣旨

 学校健診について向日市の小中学校では、原則脱衣で行う運用がされてきましたが、文科省は今年1月22日に「原則着衣で」との通知を出しました。こうした現状で、上半身脱衣での学校健診を見直すことについて、考えをお聞きします。

質問

今、脱衣を伴う学校健診のあり方の見直しを求める動きが全国で起きています。
 見直しを求める声の高まりを受けて、文科省は今年1月22日に「児童生徒等のプライバシーや心情に配慮した健康診断実施のための環境整備について」の通知を出し、「原則着衣で」との指針を示しました。「検査・診察時の服装については、正確な検査・診察に支障のない範囲で、原則、体操服や下着等の着衣、又はタオル等により身体を覆い、児童生徒等のプライバシーや心情に配慮する」こととしています。
 私は、この通知が出されたことを歓迎します。子どもも一定年齢になると、特に異性の前で上半身裸になることに強い抵抗を感じるのは当然です。

 京都府医師会が京都市を除く府内の全公立小中学校を対象に行った2018年度のアンケートによると、男女とも上半身脱衣で実施したのは、小学校で70・9%。しかし生徒の心身が大きく変化する中学校では32・1%に留まりました。一方乙訓地域では、小学校は16校すべてで男女とも脱衣、中学校は8校中5校で男女とも脱衣と、脱衣による健診が多数の結果でした。今、とりわけ乙訓地域の学校健診のあり方が問われていると思います。
 一方本市の現状について、昨年12月議会の一般質問への答弁で、脱衣で実施しているが具体的な配慮や相談を申し出られたケースは無かったことが述べられました。しかし具体的な申し出がないことは、子どもたちが脱衣を嫌がっていないことを意味しません。むしろ「イヤだ」と言うことが、権利として多くの子どもたちに認識されていないのだと思われます。

 子どもの権利条約や、こども基本法では「子どもの意見表明権」が明記されています。子どもの権利条約では、「自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」とされ、「その場合において、児童の意見は相応に考慮されるものとする」とあります。多感期の子どもが、自分のプライベートゾーンを異性の医師にみられたくないと思うのは当然の感情です。そして自分自身のことについて自分の意見を表明する権利があることを子どもたちが学ぶことは大切です。そして大人社会は、子どもたちの正当な意見を尊重することが求められます。

 半世紀以上前の私の子ども時代は、中学に進学する時には男の子は全員強制的に丸坊主にさせられました。今から思えばひどい人権侵害ですが、当時はそれが当然とされ、「イヤだ」と言う権利の認識もありませんでした。学校健診は「正確な検査のために上半身裸が当然」という「昔の常識」は、「子どもの人権も大人の人権と同様に保障しなければならない」という今の常識に置き換えなければなりません。

 こうした視点から、以下質問します。

(1)現在、向日市の6小学校、3中学校では、学校健診で医師に診察を受けるとき、子どもは全員上半身脱衣ですか。改めて実態をお聞きします。

(2)学校健診の実施時における脱衣については、いやだと思う子どもの意見が尊重されなければならないと考えますが、いかがお考えでしょうか。

(3)文科省が1月22日に出した「学校健診は原則着衣で」との通知をどのように受け止めていますか。そして今後どのように対応していく考えでしょうか。

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