●質問
能登半島地震発生から約2カ月が経ちましたが、2月22日現在で241人の方が亡くなられ、また珠洲市、輪島市などでは過半の建物が損壊するなど、甚大な被害がありました。未だ1万人以上の方が避難所での生活を強いられています(2/22現在12,278人)。被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早く普段の日常を取り戻されることをお祈り申し上げます。
能登半島地震の震源地が珠洲市にあることを知ったとき、もしここに原発ができていたらと考え、恐ろしくなりました。珠洲市に原発建設が計画されていたのですが、地元の反対運動により電力会社は2003年ついに計画を凍結しました。もし建設されていたら、もし運転中であったら、どうだったでしょう。道路は寸断され、救助隊すらなかなか被災地にたどり着けない状態で、避難が不可能だったのは明らかです。地震大国日本に、原発は絶対作ってはダメなのだと言うことがハッキリわかりました。
さて今回の一般質問では、能登半島地震災害の経験から、本市の災害に対する備えについて、いくつかお聞きします。
(1)スフィア基準に基づく避難所整備・被災者支援について
最初に、国際人道基準に基づいて求められる被災者支援についてお聞きします。
能登半島地震では、初動の救助の遅れの他、避難者の置かれている状況の劣悪さが改めて指摘されています。
私が注目するのは、海外の専門家から「ソマリアの難民キャンプよりひどい」と酷評されている避難所環境の問題です。比較されるのが、日本と同じく地震大国であるイタリアの被災者支援です。イタリアで2009年に発生したラクイラ地震では、仮設トイレが発災当日に届き、暖かい夕食が当日夜に供与されました。簡易ベッド、シーツ、枕と毛布が、冷暖房付きのテントと一緒に翌日までに準備されたそうです。
条件が大きく違うとは言え、被災者支援の根本的な考え方が違うようです。日本の避難所の設置、運営は自治体に任されていますが、イタリアでは市民保護の国家機関を設立し、国の責任で被災者支援を実施しています。避難所には48時間以内にテントやベッド、仮設トイレや食堂などを準備し提供しなければならないことが、国の責務として明記されているのだそうです。
そして避難所には、「スフィア基準」という国際的な基準があります。『人道憲章と人道支援における最低基準』といい、被災者や難民の権利と支援活動の最低基準を定めたものです。スフィア基準の基本理念は2つです。
(1) 被災者は、尊厳ある生活を営む権利があり、支援を受ける権利がある
(2) 災害による苦痛を減らすために、実行可能なあらゆる手段をとらなければならない
この基本理念の下に、様々な最低基準が示されています。例えば、
●居住空間は、適切な居住スペースを確保し、身体的な安全や尊厳を得られることとされ、1人あたりのスペースは、最低3.5㎡確保すると示されています。
●トイレは、安全、清潔かつ信頼性のあるトイレをいつでもすぐに使える必要があることとされ、20人に1つの割合で設置すること(緊急時には50人に1つ)、女性は男性の3倍必要と示されています。
トイレについては、来年度予算でトイレカーの導入を計画していることを評価します。
こうした基準は、国際的な「最低基準」です。これまで「避難所だから仕方ない。我慢して当然」という考え方が根強く、避難所生活の質を求めると「この非常時に贅沢だ」と思われる風潮があるように見受けられます。しかし、避難所での生活の「質」とは、人間らしい生活をおくることで、せっかく災害から助かった被災者の命を災害関連死から守るためのものです。
そこで質問します。
①大規模災害時の被災者支援は、根本的には国が責任を持った体制づくりが必要です。しかし自治体としてもこの機会に、国際的な最低基準(スフィア基準)に照らして、被災者支援の基準を見直す必要があるのではないでしょうか。見解を伺います。
具体例として特に、避難所の広さ、トイレの現在の設置基準と見直しの考えについてお答えください。
②災害対策に係る国への要望について
内閣府が「参考にすべき国際基準」とするスフィア基準通りの整備を個別の自治体だけで完備することは不可能です。本来は国が主導して災害対策を行うべきです。その意味で、備品や食料供給、冷暖房、トイレ、風呂、洗濯など避難所の基準の見直しと整備への全額国費負担など災害対策の大幅な拡充を、国に対して強く要望すべきと考えますが、見解を伺います。
③災害備蓄品の備蓄状況について
目標とする備蓄品リストが作成されていますが、備蓄状況の点検はどのように行われていますか(以前、備蓄数の不足が何年間も発覚しなかった経緯があります)。また必要数の半数を向日市が、残り半数を京都府が備蓄することになっていますが、京都府の備蓄状況はいかがでしょうか。
(2)災害廃棄物処理について
能登半島地震では、膨大な災害廃棄物の発生が見込まれています。珠洲市では132年分とのことです。
向日市では、2020年に乙訓2市1町共同で災害廃棄物処理計画を策定しましたが、それによると最大58万トンの災害廃棄物の発生が見込まれます。向日市の一般廃棄物発生量の40年分以上です。廃棄物の仮置き場がなく近隣自治体との協議が課題とされていましたが、現状をお聞きします。
(3)能登半島震災現地支援の経験を生かす取り組み
災害支援はまだ進行中ですが、この経験を本市の防災施策に活かすことについて伺います。
①本市職員、関係機関が行った支援活動の実績について
②行政内だけでなく、市民を対象とした報告会を開催し、経験を広く共有することについて
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