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 杉谷ひろば 2023年 4月号 No.145
向日市議会で国への意見書可決
原発新増設・60年超運転に反対


 3月17日、向日市議会は、私が提出した「原発の60年超運転と新増設を認めないことを求める意見書」を賛成多数で可決し、国に提出しました。
 福島原発事故からまだ12年。廃炉のメドは立たず、事故原因究明も手つかずなのに、岸田首相は原発の建て替えや、運転期間60年超への延長など、これまでの原発政策を大きく転換しようとしています。しかし国民の多くは、こうした政府の方針転換には明確に反対です(4面参照)。
 世界的な化石燃料価格の高騰やゼロカーボン社会への対応を、原発回帰の理由にしてはなりません。福島原発事故は、原発の過酷事故は起こること、そしてひとたび事故が起きれば取り返しのつかない被害を招くことを示しました。若狭の原発事故は直ちに向日市民に深刻な被害を及ぼすため、政府に方針転換をやめるよう意見書を提出しました。(3月21日・杉谷伸夫)

今号のコンテンツ

◆向日市議会で国への意見書可決:原発新増設・60年超運転に反対!
◆「くちだけ」の少子化対策
◆向日市議会予算・条例:杉谷伸夫がチェック
◆主な請願・意見書に対する各議員の賛否一覧
◆3月市議会報告・杉谷伸夫議員の一般質問
 ●温暖化対策 市長は覚悟もって取り組みを
 ●ごみ処理 莫大な施設整備費-財政への影響は?
 ●生活困窮者支援 福祉なんでも相談窓口を!

◆権力者が放送に介入していいのか
◆バイバイ原発きょうと:原発回帰は大事故への道!

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◆「くちだけ」の少子化対策

 岸田首相は、「異次元の少子化対策」とぶち上げましたが中身が何もありません。具体策はすべて今後。軍事費倍増の具体性、明快さと対照的です。子育て支援策として男性の育休取得促進や年収の壁対策などを表明しましたが、こんな小手先の対策で効果が無いことは誰でもわかります。
 若い人達が将来を見通して働くことの出来る労働条件、金のかかりすぎる教育の無償化、何でも自己責任でなく、いざという時支えてくれる社会保障の強化が必要です。これまで自民党政権が壊してきたものを作り直さなければなりません。
 統一地方選前に、耳障りの良い「子育て支援」を振りまいて、その財源として、結局は消費増税に誘導するのでしょうか。税収増の行く先は、大半が軍事費になることは明らかです。

◆向日市議会予算・条例:杉谷伸夫がチェック
(本会議の討論で指摘し、要望しました)

 3月の向日市議会では、4月からの新年度予算の他、いくつかの補正予算、条例改正が行われました。2つの市民請願が出され、1つは採択、1つは不採択となりました。また私が提出した原発に反対する趣旨の意見書が可決されました。

■主な新しい事業
 4月に市長選挙があるため、新規事業の多くは次の6月議会に提出される見込みですが、今議会では以下の新規事業が提出され可決されました。

●JR向日町駅東口開設事業:実施設計と、支障物件の移転。東口駅ビルに入る店舗や施設は未定です。

●小中学校施設の整備:トイレ改修・車いすトイレ、教室照明のLED化、屋上・外壁の改修

●市民温水プールの再整備:4月に市民委員を公募し、「(仮称)市民温水プールのあり方検討会議」を立ち上げる。

●高校生の入院医療費を無償化(通院医療費は対象外)

●すべての新生児に聴覚検査費用の一部を助成

問題があり、予算に反対しました

■日本電産開発土地への格安課税は違法

 農地として格安の固定資産課税を続けるのは不適正であり、違法です。
 この土地には、すでに2年以上前に建築許可が出され、どんどんビルが建設され、使用されています。土地区画整理事業が進行中だからと言って、そのような土地を「農地」として優遇課税を継続することは、間違いです。格安課税を継続する予算は認められません。

■私立幼稚園への補助を実施すべき

 議会が2年連続で全会一致で請願採択したのに、実施に後ろ向きで何一つ予算計上していません。「私立幼稚園の健康診断への補助」は、乙訓2市1町で向日市だけ実施していません。「幼稚園での2歳児教育」は要望が多く、市の支援は重要です。次の補正予算での実施を求めます。

■向日市の個人情報保護条例を廃止:国の法施行条例制定に異議あり!

 国は、自治体が保有する膨大な個人情報を企業が利活用しやすくするため、これまで原則禁止してきた個人情報の「本人外収集、目的外利用、外部提供、要配慮個人情報の収集」などの規制を無くすなどの法改悪を行いました。地方自治体は、条例を廃止して国の法に従うよう求められ、向日市は従いましたが、私は強く反対しました。これからも市民のチェックが必要です。


◆主な請願・意見書に対する各議員の賛否一覧


◆3月市議会報告・杉谷伸夫議員の一般質問

●温暖化対策 市長は覚悟もって取り組みを

問  向日市ゼロカーボンシティ宣言は、取り組みスタートの宣言です。向日市は地域のゼロカーボン実現へどう取り組んでいくのか?

答  向日市は、市域が狭く山林などの余剰地がないので、公共施設、個人宅や事業所の屋根に太陽光発電設備を設置するのが現実的だ。環境省の「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」の「重点対策加速化事業」の計画書を提出した。採択されれば公共施設のLED照明導入による省エネ化や太陽光発電設備の整備による創エネルギー化をはじめ、市民が利用しやすい補助事業の充実が図れると思う。

問  市民の積極的な参画・協力が不可欠ではないか?

答  「(仮称)向日市環境推進会議」を設置する。スピード感をもって進めて行く必要があり、最重要課題として取り組んで行く。

⇒本格的な取り組みのために、組織・人員体制が必要です。6月の本格予算を注目します。

●ごみ処理 莫大な施設整備費-財政への影響は?

 乙訓2市1町でつくる乙訓環境衛生組合(乙環=クリーンプラザ乙訓)が、ごみ処理施設のすべてを建て替える施設整備基本構想を作りました。組合発足以来最大規模の事業ですが、市民にはほとんど知られていません。

問  施設整備のスケジュールは?

答  尿理施設は令和10年度から、焼却施設・粗大ごみ処理施設は令和15年度から、資源化施設は令和20年度から新施設へ移行する方針となっている。
問 本市財政への影響は?

答  建設工事費と20年間の運営維持費は、総額で約378億円である。国の交付金制度を活用する。

⇒ 老朽化した設備の更新は必要ですが、莫大な費用がかかるので、市民によるチェックが必要です。この基本構想を乙環のホームページに掲載し、市民が知れるようにすべきです。

●生活困窮者支援 福祉なんでも相談窓口を!

 新型コロナ感染症の影響に加え、物価高騰により生活に困難を抱える市民が増えています。

問  生活福祉資金の特例貸付の返済状況は?

答  返済開始対象は、緊急小口資金が555件、総合支援金が455件ある(そのうち3割強が返済遅延=口座引き落としできなかった)。

問  生活困窮者が増えているが、生活保護の利用は増えていない。利用促進が必要では?

答  特に取り組みは考えていない。

問  気軽に相談でき、制度を越えて対応できる「福祉なんでも相談窓口」設置の検討は?

答  市役所の各窓口が相互に連携し、どの窓口でも相談頂けるように行っていくので福祉なんでも相談窓口の設置は予定していない。

⇒こうした相談窓口は、以前より市民要望が強いので、継続して求めてゆきたいと思います。


◆権力者が放送に介入していいのか

 岸田首相の答弁は、いつもはっきりしない。「様々」ばかりを繰り返して辻元清美議員に追及されたのに、それに答弁する尻から「様々」と言うのを見ていると、自分自身の考えがしっかりあるのかと思ってしまう。安倍首相は、ベラベラと嘘の答弁を百何回かしたが、岸田首相は自分自身どういう理念を持ち首相になったのかと思ってしまう。政権から次々と不祥事が出てきたのも、人の選択が悪いし、政権が安定しない気がする。
 今回は高市早苗氏が総務大臣の時の「文書捏造」問題である。行政文書は政策の決定や施行過程を記録して、後生の検証を可能にするものだ。その文書が作られた時の総務省の長が高市氏本人ではないか。 恥さらしだと思う。安倍政権時代、放送法の政治的公平性をめぐって、新たな解釈を加えるよう礒崎首相補佐官が働きかけた発言が記載されていたのだ。文書は礒崎補佐官と高市氏の発言の形で語られていたという。この文書を「捏造」と言ってるのが高市氏である。
 2005年、自民党の一衆院議員であった安倍晋三氏と中川昭一氏が、NHK に怒鳴り込んだ事件がある。松井やよりさんらが中心になった「女性法廷」で、第二次世界大戦の戦争責任は昭和天皇にもあったのではという見解を出した。それが放映されることを知った二人が止めるために行動したことで、NHK は内容を変えて訪映した。ディレクターは辞任させられたのである。間接的にディレクターを知っていた私や友達は、抗議してNHKの受信料を支払うことをやめた(2005年6月~2008年12月まで。裁判が終わったことで-残念ながら敗訴であった-それ以降は支払っている)。でも未だにこの期間の10万470円の支払いの請求が来る。
 前例があるだけに、今回の放送への働きかけは「さもありなん」と思ってしまう。3月14日の立憲民主党の福山哲郎氏の追及に、高市氏は「捏造」という言葉は使わなかったが、高市氏と礒崎氏のやり取りがあり、安倍首相に申し入れの事実もあったことを認めた。結論として、岸田首相は高市氏を辞任させるべきであると思う。放送法の立法理念のためにも。 (3月20日)


◆バイバイ原発きょうと:原発回帰は大事故への道!



 東日本大震災と福島原発事故から12年となった3月11日、「バイバイ原発3・11きょうと」集会が円山公園音楽堂で開かれ、参加しました。約1200人の市民が参集し、「政府の原発回帰方針は大事故への道。省エネと再生可能エネルギーで気候危機を打開し、脱原発社会を一日も早く実現しよう」と決議しました。
 また福島事故からの避難者による原発賠償京都訴訟の原告が、「最高裁判決を覆す」のパネルを持って登壇し、リレーアピールで支援を訴えました。原発事故の犠牲者がいまだ置き去りにされています。
 日本世論調査会による全国世論調査(グラフ)では、原発の運転期間を60年超も可能とすることについてなど原発基本政策の転換方針について、「支持しない」が71%など、政府原発政策の転換に国民の多くは反対です。二度と原発事故を繰り返してはなりません。(杉谷)