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 2024年第2回定例会(6月議会)の報告

<1> 杉谷伸夫議員の一般質問・・・6月6日(木)お昼前後の見込み

1.ニデック用地課税違法確認訴訟の判決について
2.向日町競輪場へのアリーナ整備問題について
3.会計年度任用職員の処遇をめぐる問題について

 

一般質問の要旨はこちら(PDF)

【1】 ニデック用地課税違法確認訴訟の判決について
●趣旨

 
 5月16日に京都地裁が下した判決に対し、向日市は控訴する方針です。多額の市税収入の権利を放棄してまで実現しようとする「訴えの利益」は何か、それは「向日市民にとっての利益」なのか説明を求めます。

質問

●この裁判の論点と京都地裁判決の要旨について

 ニデックが第二本社ビルなどの建設のため取得し使用していた森本東部地区の土地について、向日市が税額の低い「田畑」として固定資産税を課したのは使用実態に合わないとして、私を含む市民2人が違法性の確認を求めて2022年(令和4年)9月に住民訴訟を行いました。ビルの建設が進められているのを日々目にしている市民は、まさかあの土地が農地として格安課税されているとは誰も思っていなかったのですが、原告の一人が偶然に発見したことから住民訴訟に至ったものです。
 この裁判で5月16日、京都地裁は私たちの訴えを全面的に認め、向日市の課税方法は違法であるとする明快な判決を出しました。
 裁判の論点は、主に2点でした(わかりやすくするため、厳密な表現は避けます)。
①この土地は、土地区画整理事業が進められている地区で、令和2年5月に使用収益開始の通知がされました。しかし向日市は、道路や上下水道などのインフラがまだ未整備であり通常の使用に耐えうる状態にないため、宅地課税はできないと主張したことに対し、判決は使用収益開始通知がなされ、使用または収益を開始することができることになれば課税できるのであり、市が主張するその他の条件は関係ないとしました。
②2点目に判決は、その上で宅地課税するかどうかは行政の判断であり、土地の利用実態を考慮しておこなうとしました。この土地は令和2年11月に建築確認を受け、12月に起工式が行われ、令和3年度の固定資産課税の基準日である令和3年1月1日には、社屋の建設工事が始まっていました。こうしたことから、この土地は社屋用地として使用されていると評価するのが相当であったとしました。またこの土地は市街化調整区域の農地であったものを宅地等として課税すれば、課税額が増加することは明らかであり、農地として課税すれば、その増加分について課税を免れていることとなるとしました。
 また向日市が主張した二重課税の弊害についても、問題が生じないようにすることは過度な負担なく可能であるとしました。
 以上より結論として、もはやこの土地に宅地等の課税を行わないことは、裁量権の範囲を逸脱するものとして違法であると判決を下しました。
 しかし向日市はこの判決を不服として控訴する方針です(5月27日現在)。

 そこで質問します。

(1)市は控訴するというが、訴えの利益は何か?
 判決は要するに、市はあの土地に対して令和3年度、令和4年度について農地としてでなく宅地等として課税するべきだとしています。推定で2千万円近い税収増となるでしょう。
 私たち原告が住民訴訟を行うに際し、市長も関係職員も「課税できるなら1円でも多く課税して税収を得たい。しかしできないんです」と言っていました。このたび京都地裁が「宅地課税できるし、しなければならない」とする判決を出しました。向日市が実行したかった税の徴収に法的なお墨付きを得たのに、控訴することは、それを自ら進んで放棄することです。
 市は控訴審で市の主張の正しさを立証したいのかもしれませんが、市が控訴して実現しようとするものは何なのか?多額の市税収入の権利を放棄し、追加の裁判費用をかけてまで実現しようとする「訴えの利益」は何か、それは「向日市民にとっての利益」なのか、お聞きします。

(2)なぜ議会の議決を得ないのか?
 この裁判で市が控訴することについて議会の議決を得ないことは違法ではないとのことですが、大いに不適切であると考えます。控訴することは、多額の税収を放棄することにつながるのであり、また本件裁判は向日市民の関心も高い事件です。こうした裁判の控訴については、市民代表である議会にはかり、市民に対し何が論点なのかを示し、市民の利益の立場から議会がその可否を判断することが必要だと考えます。
 なぜ議会の議決を得ないのか、見解を問います。

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【2】向日町競輪場へのアリーナ整備問題について 
●趣旨

 京都府は、地元向日市民への説明や意見聴取もないまま、向日町競輪場へのアリーナ整備の準備を進めている。市民が不安視している交通渋滞、道路整備、周辺環境への影響への対策の見通しのないまま、事業を進めてはならない。

質問

 市長が昨年6月議会で、アリーナの誘致を表明しましたが、今年に入って3月に京都府知事が向日町競輪場へのアリーナ整備方針を表明、5月には整備・運営事業者の公募開始と急速に進んでいます。
 アリーナの問題について、向日市民への説明がなく、市民の疑問や意見を表明する機会が無い状況の中で、昨年末に向日町競輪場再整備とアリーナ問題を考える会が結成され、市民シンポジウムの開催や京都府への要望などが取り組まれています。4月末からは市民アンケートが行われており、多くの意見が寄せられています。スポーツ施設の整備に期待する声がある一方で、交通渋滞や混雑への不安を大多数の方が述べられています。アリーナを整備するなら道路整備と交通渋滞対策が前提条件だ、というのが市民の声であると言えます。その他周辺環境への影響を心配する声も多く、また京都府が向日市民への説明もなく、意見も聞かないまま進めていることに対して憤りの声が寄せられています。
 向日町競輪場へのアリーナ整備事業は京都府の事業ですが、計画が動き出した今、誘致を進めた市長には向日市民に対する説明責任があります。そこで以下伺います。

(1)競輪場基本構想について
 市長はアリーナの誘致表明の際に、合わせて「周辺の府道を整備することによる交通渋滞の対策などについてもしっかりと(競輪場基本)構想の中に盛り込」むことを要望されました。いわば誘致にあたっての条件を出されたと理解しています。しかし京都府の競輪場基本構想には、ほとんど反映されていません。このことについて、市長はどうお考えでしょうか。

(2)府道整備の見通しについて
 アリーナに対する賛否の意見を超えて、大半の市民が競輪場周辺の混雑と環境への影響、市内一帯に及びかねない交通渋滞を心配しています。特に競輪場にアクセスする道はすべて府道であり、府道の整備の具体的な見通しのないまま、アリーナ事業を前に進めてはならないと考えます。市長は、3月議会でアリーナ誘致により府道の整備が進められることが最大の目的だと述べました。

 そこで以下質問します。
①府道整備について伺います。府道整備の見通しはたったのですか?何らかの合意はできているのでしょうか?京都府がアリーナ事業を進めようとするならば、明確な見通しを向日市民に示すことが条件だと考えますが、いかがでしょうか。
②アリーナの開業までに府道整備を行うことは、とうてい不可能です。交通渋滞と市民の安全確保について、どうするのでしょうか?

(3)周辺環境への影響評価と対策について
 大規模集客施設の設置は、交通渋滞の他にも周辺環境に様々に大きな影響を与えます。こうした場合、環境に影響を与える課題を出し、それらに対する複数の対策案を検討し、その効果予測を評価して対策を決めることになります。大切なことは、これを公開・透明・市民参加で進めることです。市民に検討過程を公開し、市民意見を反映して対策を決めていくことが必要です。
 これは事業主体である京都府が行うべき仕事ですが、周辺環境への影響を受けるのは向日市民であり、現実をよく知っているのも向日市民です。
 そこで質問します。

①交通渋滞、周辺環境への影響とその対策の検討・評価を、京都府が市民に公表し、市民が参加して進めなければならないと考えますが、市長の考えを聞きます。
②京都府からその実施について説明はありますか。無ければ実施するよう強く求めて頂きたいが、いかがでしょうか。
③アリーナ事業を進めるならば、道路整備と併せ、多くの市民が不安視している事柄に対する対策の見通しを明らかにするべきではないでしょうか。

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【3】 会計年度任用職員の処遇をめぐる問題について
●趣旨

会計年度任用職員は、市民サービスを提供する仕事の重要な部分を担っていますが、会計年度限りの任用という枠組みなどから、相応しい処遇がされているとはとても言えません。不合理な処遇の改善について、本市の考えを聞きます。

質問

 令和2年度より会計年度任用職員制度が新設され、今年度で5年目を迎えました。
 向日市の会計年度任用職員は、週30時間またはそれ以上の勤務時間で社会保険が適用される職員と、週20時間未満で社会保険非適用の職員に大きく区分されます。今回の質問では、正規職員に準じる職務上の役割を担っている、週30時間またはそれ以上の勤務時間で社会保険が適用される会計年度任用職員をめぐる課題について取り上げます。
 現在、会計年度任用職員のうち多くの方が、任用の通算年数5年目を迎えています。会計年度任用職員制度以前から勤務している方も多く、通算するとかなり長期にわたり勤務している人もいます。会計年度任用職員の方が担っている仕事は、会計年度限りの業務ではなく、継続した定常的な業務であることを示しており、会計年度任用という制度の枠組みと実態は大きく乖離しています。
 会計年度任用職員の処遇は、この間いくつかの制度改善は行われたものの、制度の枠組みに縛られて、担っている業務の実態と乖離して不安定で低水準です。市民サービスを提供する仕事の重要な部分を担う会計年度任用職員の占める役割に相応しい処遇の改善を検討するべきです。根本的には国の制度変更が必要ですが、市町村ができることがあると考え、以下質問します。

(1)本市の業務に占める会計年度任用職員の業務の割合
 正規職員、会計年度任用職員(社会保険適用)、会計年度任用職員(社会保険非適用)のそれぞれの人数を回答ください。時間数に換算すると、会計年度任用職員が本市の業務に占める割合は何%になるでしょうか。

(2)会計年度任用職員の処遇について
 会計年度任用職員から、「毎年の定期昇給が1号しか上がらないので、10年以上勤めても新人と月1万円ほどしか違わない。」「仕事に誇りをもって働いているが、これでは意欲がなくなる。」などの声を聞いています。正規職員の定期昇給は毎年4号ですので、大きな差です。会計年度任用職員にも経験値が給与・処遇に適正に反映される仕組みについて、いかがお考えでしょうか。

(3)再度任用における公募について
 会計年度任用職員が、何年も同じ業務に従事するとしても、形式上は単年度で任用は終了し、新年度に新たに任用されます。国は再度の任用にあたって「公募せずに再度の任用を行う回数」の上限を設定するよう努めることとしています。
 この「公募せずに再度の任用を行う回数」の上限設定は総務省通知によるもので、法的な強制力はありません。そのため、上限を定めずに公募しない運用とする自治体が増えています。総務省の資料によると、京都府内では26市町村のうち宇治市、亀岡市をはじめ10市町が回数の上限を設けていません。すなわち再度の任用にあたって、原則公募していないということです。本市は上限回数を4回と回答しており、来年度に5回目の任用を迎えます。
 しかし再度の任用にあたって公募を実施することは、各地の自治体で大量に雇い止めが起きるなどの問題をうみ出しています。自治労連が会計年度任用職員に対して昨年行ったアンケートでは、2万4千人以上の回答があり、その86%を女性が占め、6割が年収200万円未満、また「単独で生計を維持している」方が4分の1を占めるという結果でした。
 向日市では、会計年度任用職員の多くが来年度に5回目の任用を迎えるため、「来年度も引き続き雇ってもらえるのかわからず不安」な状態のまま仕事をすることになります。対象となる職員の方にとって大きなプレッシャーであるだけでなく、職場にとっても業務に精通した職員がもし居なくなれば大きな損失となります。また公募の事務を行う職場にとっても、追加の負担になるのではないでしょうか。向日市にとって、何かメリットがあるのでしょうか。5回目の任用に際しての公募ついて、どのように臨もうとしているか考えを伺います。

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