ニデック用地に農地課税は違法だ!住民訴訟

◆2026/2/19 控訴審で全面勝訴判決(2026年2月19日・大阪高裁)
◆2025/12/10 本人陳述し結審
(2025年12月10日・大阪高裁)

大阪高裁で住民側全面勝訴判決が出ました!

  本日大阪高裁で、私たち住民側の訴えを再度認める判決が出ました!
 これは向日市が、ニデックが開発しビルを建設中の土地に対して、格安の農地課税をしたのは違法だ!と私ともう一人の市民が訴えた住民訴訟で、京都地裁に続き、大阪高裁も向日市の違法性を認定しました。
 行政を相手にした住民訴訟で住民側が勝つのは至難と言われる中で、全面勝訴は画期的です。
 マスコミの関心も高く、法廷にテレビカメラが入り、判決後の記者会見にも約十社が参加しました。
  判決を受け、2月24日から始まる向日市議会で、向日市の対応をただします。

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判決全文

主 文

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事 実 及 び 理 由

(以下、略語は原判決の例による。)

第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人らの請求を棄却する。

第2 事案の概要
1 本件は、向日市の住民である被控訴人らが、原判決別紙1物件目録記載の仮換地(本件仮換地)について、既に土地区画整理法上の使用収益開始の通知がされ、本件仮換地に対応する従前の士地(本件従前地)の所有者が建物の建設工事を開始して使用収益をしていることが明白であるから、市長である控訴人においては、令和3年度及び令和4年度の固定資産税を賦課するに当たり、地方税法343条7項 向日市税条例54条6項に基づく課税(みなす課税)として、本件従前地について登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録がされている者を本件仮換地に係る所有者とみなして賦課決定をしなければならないにもかかわらず、これを違法に怠っているとして、地方自治法242条の2第1項3 号に基づき、当該怠る事実が違法であることの確認を求めた住民訴訟である。

2 原審は、 被控訴人らの請求を認容したので、これを不服として、控訴人が本件控訴を提起した。

3 本件の争点は ①令和3年度及び令和4年度の固定資産税の各賦課期日において、本件仮換地について、地方税法343条7項 向日市税条例54条6項の「使用し、又は収益することができることとなった」というみなす課税の要件(本件要件)の充足が認められるか(争点1)、②令和3年度及び令和4年度の固定資産税を賦課するに当たり、本件仮換地について、みなす課税を行わないことが違法であるか(争点2)である。
関係法令及び前提事実は原判決第2の2及び3 (2頁~)に、争点1に関する当事者の主張は原判決第2の4(1) (4頁~)に、争点2に関する当事者の主張は、後記4のほか、原判決第2の4(2) (8頁~)にそれぞれ記載のとおりであるから、これらを引用する。

4 争点2に関する当事者の主張の要旨(当審における補充主張を含む)

【被控訴人らの主張の要旨】
(1) みなす課税制度の趣旨は、台帳課税の原則を形式的に貫くことによる課税上の不均衡を是正し、実態に即した課税を可能にすることにある。 同制度ではみなす課税を実施するか否かについて市町村長に合理的な裁量を認めているが、その裁量の範囲は、実態に即した課税を実現するとの制度趣旨を全うできる範囲に限定されるべきである。

(2) 実態に即した課税を実現するというみなす課税の趣旨に鑑みると、裁量権逸脱濫用の判断に当たっては、仮換地の使用実態(現況及び利用目的)を最も重視すべきである。すなわち、利用目的に沿った使用実態があると判断された場合には、原則として、みなす課税を実施すべきであり、二次的に、みなす課税をするために要する労力その他の弊害が大きい場合には、それにより得られる課税額との比較でみなす課税をすべきかどうかを判断すべきであって、その範囲で市町村長の裁量が認められると考えるのが相当である。

(3) 本件仮換地についてみると、その利用目的は本件会社の社屋用地(宅地)とすることであり、令和3年1月1日現在及び令和4年1月1日現在の現況は宅地と評価すべき状況であって、田や畑であった形跡は一切なかったから、令和3年度及び令和4年度において、利用目的に沿った使用実態が認められ、原則として、みなす課税を実施すべき状況にあった。 このことに加え、上記各年度においても、令和5年度と同様、控訴人の主張する物的二重課税の問題が生じないようにすることは可能であり、 かつ、 過度な負担となるものではなかったこと、及び、みなす課税をした場合には課税額が上がることが確実であった (1年当たり少なくとも860万円程度の増収が見込まれた)ことを併せ考慮すれば、みなす課税を実施しなかったことは裁量権の範囲を逸脱するものである。

(4) みなす課税を行う場合、地方税法381条8項の規定により、みなす土地補充課税台帳に当該仮換地の地目等が登録されることからも、 みなす課税が仮換地課税を意味することは明らかである。そして、固定資産評価基準上、土地の地目の認定に当たっては当該土地の現況及び利用目的に重点を置くべきものとされている(現況主義)ことからすれば、仮換地課税をする際に当該仮換地の現況及び利用目的に重点を置いて地目を定めることになるのは、当然の帰結である。ところが、控訴人は、現況主義に違反し、本件仮換地の地目を宅地と認定して仮換地課税(みなす課税)を実施することを怠ったものである。

【控訴人の主張の要旨】

(1) みなす課税の制度は、仮換地において使用収益が開始したとしても、土地区画整理事業全体の適正な課税を確保する観点から、直ちにみなす課税に切り替えずに、従前地課税(地方税法343条2項に基づく台帳課税)を継続することも許容し、その判断に際して市町村長に効果裁量を認めている。すなわち、 土地区画整理事業は、事業の施行期間や施行区域の場所、規模、使用収益開始の通知の発出状況、仮換地の利用状況等が各事業によって様々であるという点にその特色があるところ、使用収益開始やおおよその外見の状況によって直ちにみなす課税に切り替えるとなると、各事業の状況によっては適正な課税を実現できないという事態に直面することになることから、 このような事態が生じることを防止するため、上記の様々な事項を各自治体が個別に検討、判断できるように、みなす課税を行う範囲やタイミング等の判断を市町村長の裁量に委ねたものである。

(2) 裁量権の逸脱又は濫用となるのは 市町村長の判断が 重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限られると解すべきである。

(3) 本件仮換地についてみると 令和3年度及び令和4年度の時点では、周辺道路の側道や舗装が完成しておらず、ライフラインの整備も未了であり、いまだ通常の使用に耐え得る状態になっていなかったほか、工事の進展等によって画地の認定が困難となっており、合理的な根拠をもって宅地や雑種地として評価するための路線価を付設することもできず、適正な課税が不可能であった上、多くの街区で使用収益開始の通知が発出されておらず物的二重課税(同一の土地について固定資産税が異なる二者に重ねて賦課されること)の問題が存在し、この弊害を低減する方策として最適な方法(仮換地と従前の土地に重なり合いが生じている面積を対象に行う減免措置)を採り得なかったといっ事情もあった一方、本件土地区画整理事業は令和5年3月31日までの短期間で完了する予定であり、遅くとも令和6年度以降は全街区に統一的な課税を実施できる見込みであった。 そこで 控訴人は、 適正な課税を実現するという観点から本件土地区画整理事業全体の事情を総合的に考慮し、みなす課税を実施しなかったものであり、その判断に裁量権の逸脱又は濫用はない。

(4) なお、控訴人は、令和3年度及び令和4年度においては、地方税法343条2項に基づき、本件従前地に課税したものであるが、その際、地目の認定については「凍結」という手法(工事着工年度の賦課期日時点での認定を継続する手法)を用いた。かかる手法は不動産登記上の取扱い(従前の土地の特定が困難であることから 換地処分が終わるまで 土地区画整理事業区域内の従前の土地の地目変更は原則認めないとする各法務局の手法)と整合し、全国の数多くの自治体においても採用されており、固定資産評価において確立されているものである。

第3 当裁判所の判断

1 認定事実について
原判決第3の1 (13頁~)に記載のとおりであるから、 これを引用する。

2 争点1(令和3年度及び令和4年度の固定資産税の各賦課期日において、本件仮換地について 本件要件の充足が認められるか)について当裁判所も、本件においては、使用収益開始の通知により令和2年5月11日から本件仮換地につき使用収益をすることができることとなったことから、令和 3年度及び令和4年度の固定資産税の各賦課期日(各年の1月1日)において、本件要件を充足していたものと判断する。
 その理由は 原判決第3の2 (1 5頁~)に記載のとおり(ただし、 同第3の 2 (2)ア(16頁~)第2段落中の「みなす課税をするか否かの判断につき市町村長にその裁量を認めている。 そして、 市町村長にその裁量を認めた趣旨は」を 「みなす課税をするか否かを市町村の判断に委ねている。 そして、 その趣旨は」に、同ア第3段落中の「市町村長はその裁量によりみなす課税を行わないこともできる」を「市町村は実態に即応した措置としてみなす課税を行わないこともできる」に、同(2)イ(17頁~)第2段落中の「みなす課税をするか否かの市町村長の裁量判断として」を「みなす課税をするか否かの市町村の判断としてJにそれぞれ改める。)であるから、これを引用する。

3 争点2(令和3年度及び令和4年度の固定資産税を賦課するに当たり 本件仮換地について、みなす課税を行わないことが違法であるか)について

(1) 固定資産税は、固定資産の所有者に課される税であるところ(地方税法34 3条1項 向日市税条例54条1項)、土地については、その所有者とは、登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録がされている者をいっとされ(同法343条2項、同条例54条2項)、いわゆる台帳課税の原則がとられている。

しかし 土地区画整理事業の施行に係る土地について 仮換地の指定があった場合には、仮換地の指定の効力発生の日(使用収益開始可能日の指定があったときはその日)から ①当該仮換地に対応する従前の土地の所有者は、当該仮換地の使用収益をすることができるよっになる(土地区画整理法99条I項 2項)一方で、②当該仮換地の所有者は 当該仮換地の使用収益をすることができなくなる(同条3項)が、 換地処分の効力が発生するまでは、 土地の所有権については変更がないので、登記簿上の名義もまた変更されておらず、台帳課税の原則を貫くときは、なお依然として、当該仮換地について上記②の者(仮換地の所有名義人)が納税義務を負っこととなる。そこで、このような課税上の不均衡を是正し、実態に即せしめる必要から、当該仮換地については上記①の者(従前の土地の所有名義人)をもって納税義務者とすることができるようにしたのが、地方税法343条7項、向日市税条例54条6項が定める仮換地に係るみなす課税の制度の趣旨であると解される。
 そして 上記みなす課税の各規定において 上記①の者(従前の土地の所有名義人)を当該仮換地に係る納税義務者と「みなすことができる」と定めているのは、仮換地の使用の実態は、あるものについては従前からの所有者がなお依然として使用を継続している等、その状況がまちまちである場合が考えられるところ、このような場合に 仮換地の指定があったことのみに基づいて指定の効力発生の日又は使用収益開始可能日から一挙にみなす課税を実施することは、かえって不合理を招くことともなることから、具体的な運用については、よく実態に即応した措置を執るよう配慮すべきとの考慮から、みなす課税を実施するか否かを市町村の判断に委ねたものと解される。

(2) ところで 市町村長による固定資産の価格の決定においては、地方税法388条1項の固定資産評価基準によらなければならないところ(同法403条1 項)、固定資産評価基準第1章第1節一は、土地の地目の認定に当たっては、当該土地の現況及び利用目的に重点を置いて行うものとする旨を定め、いわゆる現況主義によるべきことを明らかにしている。
 土地の地目は、登記簿に記録されており、通常、登記簿上の地目と現況の地目とは一致しなければならないものであるが、登記は原則として申請主義であることなどから、両者が一致していない場合がある。 しかし、土地の地目は実地調査(地方税法408条)によって認定することが比較的容易であり、また、各筆の土地について均衡のとれた適正な評価を行うためには、登記簿上の地目に関わりなく、現況の地目によって土地の評価を行っことが相当であることから、固定資産評価基準は、上記のような現況主義をとっているものと解される。そして、固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1 日とされていることから(同法359条)、評価の基本となる地目の認定も賦課期日である1月1日現在の利用状況によって行うこととなる。
 このことは、土地区画整理事業施行中の仮換地に指定された土地の地目の認定に際しても同様であり、市町村長において当該仮換地の賦課期日時点の現況及び利用目的に重点を置いて地目の認定を行わなければならないことに変わりはない。地方税法343条7項が定めるみなす課税は、同条2項が定める台帳課税の原則の特則ではあっても、同法403条1項及び固定資産評価基準が定める地目の認定に係る現況主義の特則ではない。
 この点、控訴人は、令和3年度及び令和4年度においては 本件従前地について、 「凍結」という手法を用いて地目の認定を行い、原則どおり登記に基づく台帳課税(地方税法343条2項)を行ったものであり、上記手法は、不動産登記上の取扱いと整合し、全国の数多くの自治体においても採用されており、固定資産評価において確立されている旨主張する。
 しかしながら、固定資産の価格を決定する際の土地の地目の認定に当たり固定資産評価基準は、 あくまでも当該土地の現況及び利用目的に重点を置くべきことを求めているのであり、「凍結」という手法によって例外を認める旨の規定はなく、他に同手法を許容する旨の法令の定めも見当たらないから、固定資産の価格の決定に「凍結」という手法を用いることを正当化することはできないというべきである。不動産登記上の取扱いや他の自治体における採用の状況などは、上記の結論を左右するものではない。

(3) 上記に述べたところによれば、仮換地に対応する従前の土地の所有者が、 当該仮換地について使用収益をすることができるようになった後にその使用収益を実際に開始したことにより、 当該仮換地の地目が変わった場合には、 これに応じて当該仮換地について決定される固定資産価格にも変化が生じることになる。このような場合に 台帳課税の原則を貫くときは、当該仮換地の所有者(所有名義人)が、 自らは当該仮換地の使用収益をすることができない中で、 他人の使用収益によって変えられた固定資産価格に基づく固定資産税の納税義務を負うこととなるが、このような不合理は看過し難いというべきである。
 したがって 課税上の不均衡を是正し、実態に即した課税を実現するというみなす課税の趣旨に照らし、上記のような場合には、特段の支障のない限り市町村において当該仮換地につきみなす課税を行わなければならず、これを行わないことはみなす課税の権限の行使を怠るものとして違法の評価を受けると解するのが相当である。

(4) これを本件についてみるに、先に原判決を引用して認定した事実関係によれば 本件仮換地については 令和2年1月1日に仮換地の指定が行われ、同年 5月1 1日以降、その使用収益をすることが可能となっていたところ、同年1 2月に本件従前地の所有者である本件会社が本件社屋の建設工事を開始したことにより、 令和3年1月1日及び令和4年1月1日時点の地目は、 従前の由又は畑から、建設中の本件社屋の敷地としての宅地ないし雑種地へと変わっていたものと認められる。
 そうである以上、本件仮換地に対する令和3年度及び令和4年度の固定資産税の賦課については、上記(3)のみなす課税を実施すべき場合に当たるということができる。

(5) 控訴人は 本件仮換地については、令和3年度及び令和4年度の時点では画地の認定が困難となっており、合理的な根拠をもって宅地や雑種地として評価するための路線価を付設することもできなかった上、物的二重課税の問題が存在し、この弊害を低減する方策として最適な方法を採り得なかったという事情もあった旨主張するところ、これは上記(3)の特段の支障の存在を主張するものと解される。
しかしながら、上記(2)に説示のとおり、仮換地であっても、みなす課税を行うと否とに関わらず、現況主義に則って地目の認定を行い価格を決定すべきものであることに変わりはないから、価格決定の困難さをみなす課税を行う上での支障ということはできない。
 また、物的二重課税の問題については、向日市において、これが生じないような措置をとることは可能であり、かつ、同措置をとることが控訴人及び向日市職員に過度な負担を強いるものではないと認められる。その理由は、原判決第3の3 (2)のア及びイ(20頁~)に記載のとおりであるから、これを引用する。
したがって、控訴人の上記主張は、採用することができない。

(6) 以上によれば、控訴人が、本件仮換地について、令和3年度及び令和4年度の固定資産税につきみなす課税による賦課決定を行わないことは、違法であるというべきである(なお、当該賦課決定について、地方税法17条の5第5項所定の制限期間が経過したものとはうかがわれない。)。

被控訴人らの主張は、この趣旨をいうものとして理由がある。

第4 結 論

以上の次第で、被控訴人らの請求は認容すべきであるから、これと同旨の原判決は相当である。
よって、本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。

大阪高等裁判所第13民事部
裁判長裁判官 吉田 孝夫
裁判官 木太 伸広
裁判官 寺垣 孝彦


◆本人陳述
(2025年12月10日・大阪高裁)

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 ニデック用地に農地課税は違法だ!と向日市長を訴えた住民訴訟は、2024年5月16日に住民側全面勝訴の京都地裁判決が出されたことに対し、向日市が控訴し、これまで約1年半にわたって争点整理が続いていましたが、ようやく12月10日に結審しました。結審の前に、原告2人が陳述して訴えました。以下に全文を掲載します。

★地裁判決に関しては、こちらを参照ください。
★判決は、2026年2月19日(木)13:10、大阪高裁
 (法廷がわかれば、ここに掲載します。)

★令和6年(行コ)第86号 違法確認訴訟控訴事件
(原審:京都地方裁判所 令和4年(行ウ)第26号 違法確認請求事件)
 

原告・水島雅弘の陳述         原告・杉谷伸夫の陳述

 

原告(水島雅弘)意見陳述 全文

2025年12月10日 

 私は向日市住民、水島雅弘であります。

 本日は口頭弁論にあたり、意見陳述の機会を得ましたことを感謝いたします。

 

 さて本件訴訟の第一審は、令和6年5月16日、京都地方裁判所において、私どもの請求が認容され勝訴したものであります。

 しかし向日市長は、大阪高等裁判所へ控訴したのであります。控訴審において、原審を覆すような新たな証拠があるようには思えません。控訴理由書をはじめとする控訴人の主張についても合理的理由はどこにもありません。強く棄却を求めるものであります。

 向日市長は、本件固定資産税の課税にあたり、令和2年から3年にかけて、当該仮換地の現況及び使用実態を考慮せず、一般農地として固定資産課税台帳に登録したものであります。結果「みなす課税」を実施した場合の税収は少なく見積もっても年約900万円であり、従前地課税の税収年40万円、その差額年860万円を納税者は免れることとなったのであります。

 向日市長は、租税公平の見地から「みなす課税」を実行すべきところ、これを怠ったのであります。

 住民税収入の停滞傾向がある向日市民にとって、固定資産税収入の増大は感謝すべきことであります。課税が全市民に対して公平に実施されていないことは言語道断であります。即刻課税徴収し、市の必要な施策に活用すべきことは京都地裁で述べた通りであります。

ここに私水島、杉谷両名は、5万6千人の向日市民を代表して、本件固定資産税の課税は市長職権の範囲を逸脱し、濫用を行ったもので違法であるとの確認を求めるものであります。

 公平で公正な判決を求めて陳述を終わります。

 本日はありがとうございました

 

 

原告(杉谷伸夫)意見陳述 全文

2025年12月10日

 原告の杉谷伸夫です。向日市議会議員をしています。

 4年前、もう一人の原告である水島雅弘さんから、「日本電産(現在のニデック社)が開発し、社屋の建設を進めている広大な土地が、未だに農地として格安に課税されている。議会から是正を求めて欲しい。」と話がありました。これがスタートです。その土地は造成が終わり、建築工事がどんどん進行している段階でした。誰が見ても農地ではありません。ビルの建設が急ピッチで進むあの広大な土地が、まさか農地として課税されているなどとは、市民は誰も思っていませんでした。農地として格安の課税が違法におこなわれているなら、おそらく数千万円もの税の優遇になります。

 私は議会の内外で、向日市に説明を求めましたが、向日市は守秘義務を盾に説明を拒んだため、やむなく裁判に至りました。

 

 すでにこの裁判をおこなったことによって、市民にとって望ましい成果が出ています。京都地裁に提訴した翌年の令和5年、裁判継続中の段階で、向日市は早速税条例を改正し、使用収益開始を行った土地についてみなす課税を行い、現況に基づいて宅地または雑種地として課税しました。令和3年度から令和5年度の間でほとんど状況は変わっていないのですから、令和5年度に正しい課税ができたのであれば、令和3年度においてもできたはずであることは、一審判決でも述べられた通りです。

 

 この問題の本質は明確です。「あの土地の現況は農地ではないが、農地として課税する法的な根拠を示してください」という裁判官の問いに対し、向日市は結局法的根拠を示すことができませんでした。「他でも同じようなことをやっている」ということを述べただけでした。

 向日市は、本質的な質問に答えることができないまま、現況に基づく見なす課税を公平・公正に行うことが困難だとする技術的理由を次々に提出してきました。しかしこれらの理由は、全くの後付けの理由に過ぎません。何より、明らかに農地でない土地に、明確な法的根拠なく農地課税を行うことほど不公正なことはありません。いや、不公正ではなく違法なのです。

 

 このような違法な課税を発見することができたのは、熱心な一人の市民による地道なチェックの結果ですが、偶然の発見でした。それは、向日市のような極めて小さな自治体で、ただ一社による大規模な開発が行われたために、発見が可能だったのです。例えば京都市のような大都市であれば、外部から一市民が発見することは、不可能に近いと思われます。ですから今回、様々な条件と偶然が重なったことで明らかになった違法な課税行為に対しては、「行政の裁量」を広く認めず、厳しく是正させることによって、行政の裁量で安易に優遇を行うことに対する歯止めを掛けていただきたいと強く要望します。

 裁判長の公明正大なご判断をお願いして、私の陳述を終わります。



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